自分の好きなスタイルを保ちつつ、 機能を与えてくれたヴィブラムに感謝!
モード感たっぷりで、オリジナリティ溢れる、唯一無二のスタイリングに女性読者は憧れ、女優、モデルからのオファーも絶えない、人気スタイリストの仙波レナさん。彼女もまた、ヴィブラムの愛用者です。ヴィブラムを愛好する理由を尋ねると、靴底が持つ計り知れない機能とご自身のファッションスタイルを守ることが繋がったからだとい言います。そんなヴィブラム物語を伺いました!
−− 初めて<ヴィブラム>を知ったのはどんな感じでしたか?
仙波レナさん(以下「仙波」) スタイリストの仕事をしてからですね。今でもそうですが、ファッションオタク的になんでも知っている、なんでも知りたいというタイプではありません。靴はもともと好きだったのですが、ソールに強く関心を持っていたわけではないのです。
−− 展示会で靴を見ていたり、ブランドさんから靴をお借りしたりして、ヴィブラムのアウトソールを見て、興味が湧いたという感じですか?
仙波 もちろん、展示会などで黄色のヴィブラムのマークは見ていました。ブランド名ではなく、そこに黄色のヴィブラムのマークが目に入って、それ以来気にするようになりました。スタイリストの仕事柄、靴をお借りして、靴底を汚さないという使命があります。そのために靴底に養生をします。業界用語で「底貼り(そこばり)」と言いますが(笑)。そのとき、ヴィブラムは底貼りが効かなくて……。というのは養生テープなどを貼るのですが、凸凹のせいで、すぐに取れてしまうのです。だから、ヴィブラムのときは底貼りが必要ないということで、アシスタントとしてはひと仕事減るというラッキーアイテムで(笑)。
−− そうなのですか!そんな裏話があったのですね!
仙波 もちろん、きちんと綺麗に拭いて返さないといけないので、後始末は大変なのです。そんなことを思い出しましたね。
−− 実際にアウトソールがヴィブラムのシューズを履かれたのはいつくらいからですか?
仙波 好きなスタイルのシューズは革底が多いので、靴の修理屋さんに持って行ってゴムを上から貼ってもらうことが多いのです。ほとんどリペアしてから履くといっても良いですね。「ユニオンワークス」に当時は通っていて、相談しながら、靴底のリペアをしてもらっていたのです。今から10年くらい前ですかね、ジュゼッペ・ザノッティのエンジニアブーツを買ったのですが、すぐに相談して、ヴィブラムのアウトソールを着けていただきました。
−− 素人考えで申し訳ないのですが、せっかくのブランドのシューズをすぐにリペアするって勿体無い気もするのですが。
仙波 スタイリストの仕事って、みなさんが思っているより、ハードな現場もあるのです。ロケ現場が山の中で撮影があると山道みたいなところを登ってモデルさんのところまで行かなくてはならないこともあります。個人的にスニーカーは持っていないし、ゴム底のシューズもいろいろありますが、レディスのシューズはそこまで多くありません。カジュアルすぎず、ジップで脱ぎ履きも楽だった、このジュゼッペ・ザノッティのエンジニアブーツは良かったのですが、ソールがレザーで貼り替えたのがヴィブラムでした。
−− 貼り替えてみて、いかがでしたか?
仙波 貼り替えのとき、相談していたら、お店の方から「重くなりますよ」とは言われたのですが、履いてみると気にはならなりませんでした。岩場も泥のところも行けて、滑らないから、とても重宝しましたね。
−− よく拝見すると、もともとアウトソールがヴィブラムだったのではないか、と思うくらい自然な靴底ですね。
仙波 そうですね。ゴツくはなりましたが、お店の人が剥がれにくさと横から見たときの綺麗さ、そして、劣化を防ぐためにヒールの線に合わせて削ってくれました。だからとても自然なシルエットで履けましたね。
−− それがヴィブラムのアウトソールを実感した最初になりますか?
仙波 意識してヴィブラムのアウトソールを履かせていただいたのはこのジュゼッペのシューズになると思います。それからヴィブラムのアウトソールを意識して買ったものもありますよ。
−− ヴィブラムにハマったわけですか?
仙波 ハマるほどではないですが、その後<Yohji Yamamoto>のレースアップシューズを買いました。そのときの決め手はアウトソールがヴィブラムだったからなのです。ジュゼッペをヴィブラムに貼り替えて、ロケ現場でとても安全に履けたので、<Yohji Yamamoto>の靴底がヴィブラムだったから、これなら大丈夫だと思ったのです。
−− 実際に履かれていかがでしたか?
仙波 ソールを貼り替えることなく自分のスタイルに合いました。だから、どこにでも履いて行けて、これも岩場も、泥や滑りやすい土の山道もどこでもオッケーでしたね。あまりにも履きすぎて汚れてしまったので、履かなくなってしまいましたが、以来、自分のシューズの中で、一足はアウトドアスタイルのソールを持つようにしていますね。
−− ヴィブラムが決め手で<Yohji Yamamoto>の靴お求めになったというのはスタッフとしても嬉しいお話です。
仙波 機能性は素晴らしいと思っています。
−− 仙波さんは基本的に靴底を貼り替えるとおっしゃっていましたが、それはどんな理由からでしょうか?
仙波 自分のファッション的なスタイルを保ちながら、好きな靴を履けることですね。このシューズは今の自分のファッションにマッチすると思っても、ソールが現場に履いて行けるものでないと諦めることもあるわけです。反対にソールだけ良くてもそれで自分のスタイルに合ってなければ、買いません。ですが、スタイルを保ちながら、実用性も兼ねられるという意味で、ソールの貼り替えは、私にとってとても大事なことなのです。
−− シューズはファッションアイテムとしてとても重要だと思います。こんなシューズが欲しいな、と思っても、革底だと滑りやすいからと諦めてしまうことも多いと思います。それを貼り替えすることで諦めずに済む、ということですね。
仙波 そうです。好きなものを選びながら、その選択肢が広がる、というのはとても大切なのです。履けるシューズが増えることはありがたいことですよ。ただ、見た目も大切です。横から見て、トゥマッチになってしまうこともあるので、きちんと相談できるお店で一緒に考えながら貼り替えられると良いと思います。
−− デザインが華奢でエレガントなのに、ソールがゴツいというのも寂しいですからね。
仙波 ヴィブラムのアウトソールは履いてみて機能性の素晴らしさを実感できました。だから、自分のスタイルに合って、ヴィブラムがマッチするものであれば、今後も貼り替えていくと思います。
ファッションスタイルを保ちつつ、機能性も得られる、一挙両得をヴィブラムで叶えている仙波さんのお話、参考になるお話を伺うことができました。写真の足元はまさにその機能性を実感された、逸品です。ありがとうございました。
仙波レナ(せんばれな)スタイリスト
スタイリスト。シーズン毎のモード感を巧みに捉えながら、仙波カラーのスタイリングに落とし込む。エッジの効いたスタイリングが得意で、ファッション誌、広告など幅広いジャンルで活躍。女優、モデルからの人気も高い。
Text by 北原 徹
Photo by 北原 徹