ソールのリペアはお店に出して、できあがるのを待つだけ、というのが通常の流れ。ですが、どうやってソールは貼り替えられているのか。そんな手順を知ることでリペアしたいと思う気持ちも変わってくるのではないでしょうか? それぞれの靴に合わせて、ソールのリペアも変わってきます。貼り替えの作業を見せていただきました。
材料を並べて作業開始。今回はトップリフト(踵部分)とハーフラバー(足の前方部)に分けての貼り替え。
今回伺ったのは渋谷パルコの中にある「SOLE JACK」。三越日本橋本店の紳士靴売り場にある「ソールファクター」の姉妹店です。「ソールファクター」とはヴィブラム公認のリペアサービスのことで、安心してソール交換ができるお店です。作業とその工程を「SOLE JACK」の榊圭さんに伺いました。
すっかりすり減った踵のブーツですが、その工程に沿って順を追って見ていきたいと思います。
まずは材料のチェック。正しい位置に配置するように位置決めをします。位置決めした位置にペンで印をつけておきます。これは履き心地を変えないというよりは木型に対して、ヒールの高さが決まっているためです。その高さに合わせるように位置決めしていきます。それが低くても、高くてもバランスが悪くなるからです。
すっかりすり減った踵のブーツですが、その工程に沿って順を追って見ていきたいと思います。
まずは材料のチェック。正しい位置に配置するように位置決めをします。位置決めした位置にペンで印をつけておきます。これは履き心地を変えないというよりは木型に対して、ヒールの高さが決まっているためです。その高さに合わせるように位置決めしていきます。それが低くても、高くてもバランスが悪くなるからです。
位置決めすることで結果として靴の雰囲気を崩さないことにもなります。
次に元々の革底を剥がす作業です。トップリフトの厚さに合わせて、どれくらい剥がすのが良いかは経験のなせる技。みるみるうちに剥がされます。そして剥がしたあとをヤスリで表面を荒く削ります。これは接着力をより高めるためです。ツルツルだと先着剤が剥がれてしまったという経験、ありませんか? 少しでも接着のための表面積を増やす大事な作業です。同様にゴムのトップリフトの接着面も荒く削ります。
面の皮一枚ならぬ、踵の革一枚剥がして、高さを調整します。
革底とゴムのトップリフトの削り出し。
左が削る前のピカピカの状態。右が荒削後のマットな状態。
踵の減っている部分は平らにします。そのために専用の革を接着剤でつけて、重ねて補っていきます。同様につま先部の減りも補っていきます。補った革がはみ出した部分を削って形を整えていきます。
接着剤をつけて削れた部分を補っていく。
革を補った状態。凸凹もまた可愛い???
外にはみ出した部分をヤスリで丁寧に削って、形を整えていく。
次は接着面に接着剤を塗っていきます。ソールの張り替え用の接着剤を塗布して、少し置いて乾かします。乾かすことで接着力を高める効果があります。
ハーフラバーを接着する靴底の土踏まずの部分、貼り付けるソールの一番踵側はゴム底がはみ出さないように(はみ出すとその部分が階段などで当たると剥がれやすくなってしまうため)溝を入れるような感じで削っていきます。
ハーフラバーを接着する靴底の土踏まずの部分、貼り付けるソールの一番踵側はゴム底がはみ出さないように(はみ出すとその部分が階段などで当たると剥がれやすくなってしまうため)溝を入れるような感じで削っていきます。
ゴムに接着剤を塗布していきます。
ソールの厚さ分を平らになるようにするための削り出しの作業。コンマ数ミリの世界。
靴の側の革底も荒めのヤスリがかけてあります。接着剤を塗布していきます。
接着剤をつけたら、靴の底にソールをつけていきます。ハーフラバーは先ほど溝をつけた部分を目安に貼りつけます。手作業で1mmの誤差もなく、綺麗に丁寧に貼りつけていきます。貼り付けた後には接着力を強くするためにハンマーで叩いて仕上げます。
貼りつけ作業の手順。位置合わせも重要なポイント。
ソールのはみ出した部分を靴の形に合わせて切り取っていきます。ふたつの疑問があったので、聞いてみました。まずひとつ目は「簡単に切り取っていますが、何かコツはあるのですか?」というもの。「ガイドラインがあるわけではないので、一見難しそうに見えますが、慣れると難しくはありません。後で削りますし、削り過ぎに注意は必要です。とはいえ経験としか言いようがないものですね」と榊さんはおっしゃいます。
ふたつ目は「何か専用の特殊なカッターがあるのですか?」と尋ねました。「どこでも売っているOLFAのカッターですよ。これが一番良いのです!」と榊さん。
靴の曲線に合わせて、綺麗に切り取っていきます。丁寧な作業ですが、スピードもあります。スッスッスッと切っていきます。ゆっくりだと直線の連続になってしまいますが、スピードが綺麗な曲線を生み出すのだと思います。
ふたつ目は「何か専用の特殊なカッターがあるのですか?」と尋ねました。「どこでも売っているOLFAのカッターですよ。これが一番良いのです!」と榊さん。
靴の曲線に合わせて、綺麗に切り取っていきます。丁寧な作業ですが、スピードもあります。スッスッスッと切っていきます。ゆっくりだと直線の連続になってしまいますが、スピードが綺麗な曲線を生み出すのだと思います。
靴の形に沿って綺麗に切り取っていきます。
最後に細かな磨き用のヤスリでサイドを綺麗に仕上げていきます。
その後で、革の部分とゴムの部分を同色にするためにソール専用の靴墨を塗っていきます。これが終わるとまるで最初からヴィブラムのソールがついていたのではないか? と思えるほど美しく滑らかな仕上がりになりました。
その後で、革の部分とゴムの部分を同色にするためにソール専用の靴墨を塗っていきます。これが終わるとまるで最初からヴィブラムのソールがついていたのではないか? と思えるほど美しく滑らかな仕上がりになりました。
目の細かなヤスリで綺麗に仕上げていきます。
サイドに靴墨を塗ったら完成です。
左足がヴィブラムのソールに貼り替えたもの。右足は貼り替える前のすり減った元のブーツ。
仕上がったものと作業前のものを比べてみると、ヴィブラムのソールにリペアしたもののほうがシャキッと凛としているように見えます。手間をかけていただき、靴底のヘタリ具合も調整してもらったようです。まるで新しい靴にしてもらったようになったと思います。
「良い靴は修理を前提の製法でつくられているものです」と榊さんの言葉。良い靴は修理をしながら、長く履くことが大事です。
「良い靴は修理を前提の製法でつくられているものです」と榊さんの言葉。良い靴は修理をしながら、長く履くことが大事です。
■RESH.
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Instagram:https://www.instagram.com/resh_shoerepair/?hl=ja
■渋谷パルコ SOLE JACK ソールジャック
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