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無意識のうちに選んだ
一足のブーツに導かれる

スタイリスト
安西 こずえ
COLUMNDec 5, 2023
無意識のうちに選んだ一足のブーツに導かれる
学生の頃からトラッドの靴は好きで履いていましたが、20代前半、メンズのスタイリストをはじめたことがきっかけでヴィブラムの存在を知りました。それまでの印象は、“ちょっと特別感のある黄色いマーク”程度(笑)。その後、スタイリストのアシスタントを始めてファッションの知識が増えた頃、「あ、これがみんなの言っているヴィブラムなのね」。と、自分の認識の中で黄色いマークと名称が一致したことを今でも覚えています。

ウィメンズシューズのトレンドも、今やトラックソールやボリュームソールなどの厚底シューズが沢山ありますが、どれもこれも重いことが難点。そんな中、見た目のボリューム感に反して軽くて履きやすいと思ったドリスヴァンノッテンのブーツの靴底にヴィブラムのマークを発見!私自身、奇を衒うスタイリングが好きなので、モード系のブランドが、わざわざヴィブラムを取り入れている、にくいMIX感が私のあまのじゃく的なスピリットとマッチして、出会った瞬間、即手に入れたのは数年前。
当時は、歩きやすくてかなりヘビーローテーションしていましたが、ソールが減ることもほとんどなく耐久性の強さも改めて実感。この偶然の出会いは、ヴィブラムに導かれたのではないかと思います。職業柄、服や靴が溢れ返ると、時折断捨離することはありますが、手放したくない靴のひとつとして、我が家のシュークローゼットに存在。久しぶりに履きたくなりました。

私自身、普段はヒール派。なおかつ、少々飽きっぽいので、その時々の気持ちのブームで選んできたファッションの変遷は様々ですが、メンズライクなエッセンスを取り入れたい時は、今でもやっぱり“ヴィブラム”という点は、これからも変わらないと思います。メンズのスタイリングからスタートしたことで、普遍的に変わらず優れたモノへの愛着心を育めたと感じています。
安西 こずえ スタイリスト

東京出身。短大卒業後メンズスタイリスト・近藤 昌氏に師事。独立後は女性ながらメンズ誌を中心にサッカー選手などのスタイリングを手がける。その後、女性誌へ仕事の幅を広げ、女優、俳優、アーティストなどジャンルを越えた分野からの指名も多数。リゾートウエアブランドmikomoriはじめ、カシミアニットブランドWRAPINKNOTでは自身がディレクションするラインを持ちマルチに活躍中。