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ヴィブラムを知れば知るほど
ワクワクが止まらない!

MEN’S CLUB 編集長/
Esquire The Big Black Book ファッションディレクター
西川 昌宏
Sep 7, 2023
ヴィブラムを知れば知るほど ワクワクが止まらない!
ヴィブラムとの出会いは2000年代前半。たしかメンズクラブのリペア企画でした。
クラークスのクレープソールがダメになったのでオールソールを考え、ベージュカラーのそれをレッドウィングの6インチクラシックモック風にしようと…画策。
そこで出会ったのが白のヴィブラム製のソールでした。
実は後になって知ったのですが、レッドウィングは1960年代にヴィブラムのソールを採用し、1980年代にはロガーブーツ用のソールを共同開発しています。
われながらいい選択をしていたなと感心。
ベージュスエードと白ソールのコンビネーションはなんともモダンで、その仕上がりには大満足。正直街で履くにはオーバースペックと思っていましたが、クレープソールの弱点、雨の日にだって履けるし、大げさではなく10年活躍してくれました。
そして時は流れ、またまた街履きにはオーバースペックな一足を買ってしまったのです。それがkolorのスリッパ型サンダル。上から見るとベージュスエードの上品な顔つきなのに、ソールはヴィブラムのアイコンでもある「クレッターリフト」を採用。
そう、伝説のアウトドアブーツ、ダナーライトに使われている全天候対応のごついソールです。ちなみにソールに配されたクロスの突起は、十字架がモチーフとのこと。
つまるところ、私はその少しアンバランスな組み合わせに心を奪われ「スリッパでアウトドア?」的な妄想にワクワクしてしまったのです。
で、実際履いてみると、これが街以上にキャンプ場で大活躍。スリッパ型ゆえ、テントへ出入りするときの着脱がめちゃくちゃ楽ちん、そしてキャンプフィールド特有の水たまり、芝生、砂利などでもガンガン歩けるのです。
年間300パターンのデザインをリリースするヴィブラムの魅力は、その圧倒的な機能性とデザイン力であることは間違いないでしょう。ただ、それ以上に、ソールのスペックにほれ込み、多くのデザイナーやシューメーカーがイマジネーションを膨らませて生み出された靴。そこにも魅力を感じるのです。
リペアにしろ、サンダルにしろ、共通して言えるのは本物の道具としての満足度だけではなく、履くことによって生まれるワクワク感をもたらしてくれるということ。それってヴィブラム製のソールがファンタジーかつファッションである証しだと思うのです。そんなソール世界中探してもどこにもないかと。
そして最後に耳よりな情報をひとつ。日本橋三越本店にヴィブラム社認定のシューズカスタマイズサービス、「Vibram SOLEFACTOR(ヴィブラム ソール ファクター)」があるのをご存じでしたか? そこでは、なんとスニーカーのソール交換もできるというのです。言わずもがな私の中のリペア熱がまたまた加熱。
高校時代、三ノ宮トアロードの古着屋でありえない金額で購入し、母親に「返品してこい!」と大目玉をくらった黒のエアジョーダンⅥ。それが加水分解した状態で靴箱に眠っており、それをなんとか蘇らせてやりたいなと。
買った当時もそうですが、バスケットシューズではなない使い方をのぞんでいたので、ソールは普段使いできるランニング用にする? いや、実現可能か分からないけど、あえてアウトドア対応のソールでキャンプ仕様のエアジョーダンにするか?…私の脳内リペアは止まりません。
なんだか気が付くと、またまたヴィブラムにワクワクさせられているのでした。
西川 昌宏 MEN’S CLUB 編集長/
Esquire The Big Black Book ファッションディレクター

1975年生まれ。兵庫県出身。3歳になるイタリアングレーハウンドにメロメロで、最近はラグジュアリーなドッグキャンプを模索中。