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<前編>
ヴィブラムのソールにシューズをリペアする

日本橋三越
Vibram SOLE FACTOR
COBBLERSJul 31, 2023
<前編>ヴィブラムのソールにシューズをリペアする
シューズの寿命はソールの寿命、と思っている方、意外と多いのではないでしょうか?
かくいう筆者もソールがすり減ってしまうと、もうこの靴ともお別れか、と思い悩んだまま靴箱で出番を待っている靴も多々あります。
しかし、ソールがすり減ったらその靴は寿命…、そんなことはありません。ソールを貼り替えて、気分一新!
新しい靴を買ったみたいな嬉しくも楽しい出来事になりますよ!
前編_2

ヴィブラムのソールを見ながら相談できるので、仕上がりのイメージが掴みやすい。

「ソールを貼り替える」
物を大事にするという観点からも、サステイナブル、また環境負荷の軽減の面からもソールの貼り替えというのはとても大事な行為ではないか、と思います。ヴィブラムでは以前からヴィブラム「ソールファクター」という、靴の専門家がお客様の靴をカスタマイズするラボがあります。そこではあらゆるシューズをご希望のパフォーマンスとデザインのヴィブラムのソールにリペアするサービスを提供しています。

ソールの貼り替えに目的はいろいろであって良いと思います。
いくつか挙げてみましょう。
お気に入りの靴のソールが擦り減ってしまい、もう履けないからソール交換。
買った靴はとても良いデザインなのだけれど、この靴でもう少しハードな場所にも履いていきたい。
靴のデザインはとても良いのだけれど、少し歩きやすくするために軽くしたい。
革底は滑りやすいので、ゴム底に変えたい。
ソールを変えて、好きな靴を自分なりにカスタマイズしたい。

大体こんなところでしょうか?
筆者は冒頭でも書いたように、ソールが摩耗してしまうと、この靴ともお別れか、と思っていたタイプでした。今回、それも含めて、ソールを交換するということをまるで目から鱗のように感じていたわけです。しかもただソールを交換するだけではなく、ヴィブラムのソールを付けられるとなれば、それは靴の価値も上がりそうな勢いです。
今回ソールを換えたいブーツ。

今回ソールを換えたいブーツ。

早速ヴィブラムのソールに2足、張り替え体験をしにいきました。
行って来たのは「日本橋三越メンズシューズリペア&ケアカウンター」のカスタマイズサービス「Vibram SOLE FACTOR(ヴィブラムソールファクター)」。日本ではまだ少ない「Vibram/ヴィブラム」の認定店です。
ご対応いただいたのは靴修理の専門店「RESH.」の青森聖一さん。
高級感あるカウンター。

高級感あるカウンター。

青森さんはシューフィッターの資格もあり、履き方までレクチャーしてくださった。

青森さんはシューフィッターの資格もあり、履き方までレクチャーしてくださった。

今回、筆者が持参した靴は2点あります。それぞれにソールの貼り替えをしたい意味がありました。そんな相談を青森さんにしてみます。
まず、ブーツを見ていただきました。
「革はまだしっかりしているので、オールソールでなくても、トップリフト(ヒールの一番下、地面に接する部分)の交換だけでもご対応できますよ」とおっしゃっていただいたのだが、今回、このブーツに対して、筆者には思うことがあった。それは、このブーツはとても格好良いのだけれど、革底だということ。そして、革底で何度か滑って転んだことがあり、もう革底は履きたくない、とまで思っていたことをお伝えし、また、このブールがヴィブラムを象徴するデザイン「カラルマート」になったら格好良くなるだろう、と思ったのです。
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仕上がりのイメージを実際のブーツに置いて見せていただく。

「革底は滑りますからね。ラバーソールにリソールするだけグリップは違うと思います。カラルマートにしていきましょう」と青森さん。
ブーツにはカラルマートのつま先から土踏まずくらいまでの前側と踵部分のものを持って来てくださった。カラルマートは全面貼り替えだとばかり思っていたので、こんな風に前と踵を分けて貼り替えられるのだと感心しました。
ご提案いただいたのはハーフラバーが「SP」というコンパウンド。トップリフトには「Mont」というコンパウンド。共に日常生活でのグリップ力を発揮するタイプです。「SP」は曲がりやすいので前側に、「Mont」は硬度があり踵側に向いているそうです。
実際に靴底に置いてみたりすると考えていた以上に元の靴のイメージを崩さないでソールを実用的にすることができるのだとわかりました。要望としてはソールのラグ(凸凹)がなるべく深いものにしてほしい、ということだけを申しました。ソールを変えると履き心地も変わってくるそうですが、ヴィブラムのソールになって、革靴と違ってしっかりグリップして靴に進化するのだから、履き心地の変化も楽しみになってきます。
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もうひとつのスタッズのシューズ。

「こちらのお悩みは?」とおっしゃるので、「これはですね、スタッズでアッパーも重くなっているのに、クレープソールで格好良いのですが、さらに重さが加わって、歩いていると甲が痛くなってくるのです」とお伝えしました。すると「軽くしたい、というご要望ですね。スポンジ底というものがありまして、こちらだと雰囲気を壊さず、軽量で履けると思います」と青森さんの的確な判断。ヴィブラムでスポンジ底というのがあるのですか?」と申し上げると、「いくつかご用意してみますね」とソールを持って来てくださった。
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スポンジのソールを着けた場合を想定してのシミュレーション。

もう一方のスタッズのシューズはクレープソールに対応したスポンジを見せてくださったのですが、そもそものお話を伺うのを忘れていました。このクレープソールも交換できるのでしょうか?
「ほとんどの靴はソール交換ができますよ。ご心配なさらず、まずは持って来てみてください」とのことでした。クレープソールがヴィブラムに変えられるなんて、なんか感動的でさえあります。
と、青森さんとお話をしていたところにヴィブラム・ジャパンの眞田くみ子代表からアドバイスをいただくことに!
「どういう風にしたいのかしら?」と眞田さん。
「かなり重い靴なので、軽くしたいのですが、この靴の持ち味は変えずにさらに格好良くなれば、と思いました。すごく深い溝のタンク(「カラルマート」のこと)があったらなぁ、と思ってもいました」
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カラルマートをつけるとこんな感じになります。

「高さはもう少し高くなっても良いのですか?」
「それはむしろありがたいです!」
「1489にしてみたらどうかしら。少し雰囲気は変わるけれど、おっしゃるように深い溝があるので、これはおすすめです。先ほどのものよりは少し重さはありますが、高さはうまく調節してもらえると思います」
「重いといっても、元のクレープが重すぎるので、これくらいの重さはとても軽いですよ! こちらのほうが格好良いので、こっちにチャレンジしたいです!」
クレープの重さの負荷が足の甲にかかって、痛くなることがたまにありました。その甲にかかる重さがなくなるだけで、このスタッズシューズはもっといろんなところに履いていけると思います。
「ソールを換えてデザイナーの竹ヶ原さんに見せたいな。このスタッズシューズは<foot the coacher/フット ザ コーチャー>なんです」
「格好良いと思っていたら、竹ヶ原さんのなんですね!」
とここで眞田代表がまた閃いたようです。
「Vi-Liteというコンパウンドのソールがあって、この靴に合うと思うのです。竹ヶ原さんも好きなソールなのですが、まだ竹ヶ原さんも使っていないタイプがあって、でも、その在庫があるか、どうか。9105とか9107とかなのですが、竹が原さんは9107を使っています。高反発でとても軽いのが特長です。ヴィブラムにしかない素材で超ハイスペックです。それが使えるか、少し待ってください。」
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「Vi-Lite」コンパウンドのソール。

ということで、少し時間がかかるかもしれないけれど、探していただけることになりました。
ブーツをご覧になっていた青森さんが、「踵の減りが変わっていますね。あまりみたことのない減り方で……。あ、ごめんなさい。シューフィッターの資格も持っているので、気になってしまいました」
「すごく猫背で、その上、足を引き摺るのがパンクロッカーみたいで格好良いと思っていたんです……」
というお話もできて、ただソールを貼り替えるだけではなく、
とても良いご提案をいただき、最高のでき上がりになりそう、というところで、でき上がりを待つことになりました。(修理の手順はこちら)

ということで、完成したふたつをさまざまな角度から見てみたいと思います。

まずはブーツ。
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上の2カットは元の姿との比較をしました。革底と違って頑丈なイメージ。見た目もグッとアクティブな雰囲気にかつ格好良くなりました。
履き心地は格段良くなりました。歩きやすさという面ではクッション性が格段アップ。革底とはまったく違って、必要以上には足が疲れません。さらには雨の日にも履いてみたのですが、濡れたマンホールの上を歩いても滑りません。感激というしかありません。
続いてスタッズシューズ。
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上は元のクレープソールとクレープソールをはいだ状態のもの。下は完成形!

スタッズシューズに関してはクレープソールからは想像がつかないレベルで軽くなり、足の甲にかかっていた荷重もほとんど感じなくなりました。デザイン的も優れているだけではなく、クレープソールをはるかに超えてグリップします。また、履き心地という面では期待以上のものがありました。それはスニーカーのように軽快な履き心地になったことです。その歩きやすさたるや! 言葉にできません。それはまるたく新しいシューズになったというくらいに印象が違います。
高級感あるカウンター。
実際に履いてみました。どちらも格好良い!!!

実際に履いてみました。どちらも格好良い!!!

別項では修理の手順をご紹介します。(修理の手順はこちら(中編)

■日本橋三越 Vibram SOLE FACTOR(ヴィブラム ソールファクター)
HP:https://www.mistore.jp/store/nihombashi/service/men_shoerepair.html

■RESH.
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