滑りやすい氷上に「安心」を届ける。ヴィブラムがアイスホッケーの現場にもたらした価値とは?
ヴィブラムジャパンは、プロアイスホッケーチーム「H.C.栃木日光アイスバックス」とスポンサーシップ契約を結び、2024-2025シーズンはチームの活動を幅広くサポートしています。
ヴィブラムジャパンが提供しているのは、濡れた氷の上でも優れたグリップ力を発揮する「VIBRAM ARCTIC GRIP ALL TERRAIN(ヴィブラム アークティックグリップ オルテライン)」。チームスタッフが日々の業務で使用するシューズをこのソールにリソール(張り替え)することで、氷上やリンクサイドでの安全性を高めています。
こうした取り組みによって、現場にはどのような変化が生まれたのでしょうか。チームを支えるトレーナーの松田堅太郎さんと、イクイップメント・マネージャーのキース・オドンネルさんに話をうかがいました。
濡れた氷の上での安心感は想像以上
松田堅太郎 / H.C.栃木日光アイスバックス トレーナー
1984年生まれ。山形県出身。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。2019年よりチームのトレーナーを務める。
1984年生まれ。山形県出身。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。2019年よりチームのトレーナーを務める。
−− まずは松田さんの業務内容について教えてください。
松田 チーム内では、監督・コーチ・トレーナー・用具マネージャー・マネージャーの5人で選手を支えています。私の主な役割は、選手のコンディショニング全般です。トレーニング指導やリハビリ、怪我の対応、健康管理など、現場でのサポートは多岐にわたります。リンクサイドでのトレーニングもあれば、リハビリ計画を立てるようなデスクワーク的な業務もあり、試合や遠征にも帯同しています。
−− トレーナーとして大切にしていることは?
松田 一番大切なのは、選手がベストコンディションで試合に臨めるよう整えることです。怪我は避けられないものなので、「起きたときにいかに早く、的確に対応できるか」を常に意識しています。
たとえば診断で「全治1ヶ月」と言われても、その期間の過ごし方によって復帰後のパフォーマンスは大きく変わります。最初の1週間は何を避け、次の週から何を始めるかを明確に示すだけでも、選手のモチベーションが変わるんです。選手とともに回復の道筋を描き、ゴールまで並走することが私の役割だと思っています。
選手の数が多い中で一人ひとりに対応するのは簡単ではありませんが、優先順位をつけて全体トレーニングを見ながら、怪我人には個別で対応しています。限られた人数でチームを支える以上、柔軟な判断力とチームワークが不可欠です。
−− ヴィブラム導入前はどのようなシューズを履いていましたか?
松田 以前は一般的なランニングシューズを履いていました。リンクサイドや氷の上を歩くことも多く、滑らないことが非常に重要です。
しかし、普通のシューズでは氷上でどうしても滑ってしまう。実際、何度か転倒したこともあります。氷の上で転ぶと、自分が怪我をするだけでなく、選手のケアや搬送にも支障をきたす危険があります。
−− ヴィブラム導入後はどう変わりましたか?
松田 ヴィブラムのソールに替えてからは、氷の上でも格段に安定して歩けるようになりました。完全に滑らないわけではありませんが、一歩踏み出したときの“安心感”がまったく違います。
選手がリンク上で倒れたとき、以前は肩を借りることもありましたが、今では自分の足でしっかり移動できる。現場対応のスピードも、安全性も確実に上がりました。
ヴィブラムのソールが氷上での安全な歩行をサポート
−− ヴィブラムへの印象は?
松田 登山やトレイルラン用のソールというイメージで、最初は自分の仕事とは関係ないと思っていました。でも、実際に使ってみて、濡れた氷上での安定感は想像以上。トレーナーとして、安心して氷上を歩けることの意味を実感しています。
−− ホームゲームの「キッズエスコート」にもヴィブラムが使われていますね。
松田 はい。キッズエスコートは、選手の入場時に小学生がいっしょにリンクに登場するセレモニーです。氷がもっともきれいに整えられた、つまりもっとも滑りやすいタイミングに行われます。
以前はスケートができる子どもだけが参加できましたが、ヴィブラムのオーバーシューズを使うことで、スケートができない子でも安全に氷上を歩けるようになりました。
子どもたちが初めて氷に立ち、少し緊張しながらも笑顔で歩く姿を見ると、本当にうれしくなります。チームとしても意義のある取り組みだと思います。
(©ICEBUCKS)
(©ICEBUCKS)
選手の入場時に子どもたちがいっしょにリンクに登場するセレモニー「キッズエスコート」
(©ICEBUCKS)
「キッズエスコート」で子どもたちが着用するヴィブラムのオーバーシューズ
いざというとき、不安なく一歩を踏み出せる
キース・オドンネル / H.C.栃木日光アイスバックス イクイップメント・マネージャー
1965年生まれ。アメリカ・ニューヨーク州バッファロー出身。1999年のチーム創設時から用具全般を担当。
1965年生まれ。アメリカ・ニューヨーク州バッファロー出身。1999年のチーム創設時から用具全般を担当。
−− キースさんの役割を教えてください。
キース 私は「イクイップメント・マネージャー」として、選手の用具全般を管理・整備しています。スティックや防具、グローブ、スケートブーツなど、すべての用具が私の手を通ります。
スティックは選手の身長やプレースタイルに合わせて長さやテーピングを調整し、グローブは破れたらすぐ補修。スケートブレードの削り方は選手ごとに好みが違うので、その感覚を把握して仕上げるのが大切です。選手がベストな状態でプレーできるよう、用具を整えています。
−− 仕事で意識していることは?
キース とにかく「完璧な準備」。選手がリンクに来たとき、何も考えずにプレーだけに集中できるようにしておくことです。ロッカーのユニフォーム、テーピング、用具の予備など、すべてが整っている状態をつくる。それが裏方の仕事の基本です。
−− ヴィブラム導入で変化はありましたか?
キース 私は普段ベンチ裏で作業していますが、ゴーリーの装備トラブルなどで氷上に出なければならないことが年に1〜2回あります。以前は普通のスニーカーを履いていて、滑ったこともありました。体格が大きいので、転倒すれば大事故になりかねません。
ヴィブラムのソールに替えてからは、氷の上でもしっかり踏ん張れる感覚があります。いざというとき、不安なく一歩を踏み出せる。それが何より大きいですね。
−− ヴィブラムへの印象は?
キース アメリカにいた頃に愛用していたティンバーランドのブーツは、ソールがヴィブラムで、雪道でもしっかりグリップして安心感がありました。今回のリソールの話を聞いたときも「それはいい選択だ」とすぐに思いましたね。プロチームの現場では、こうした“安心感”が結果を左右することもあります。
−− キッズエスコートの取り組みについては?
キース 素晴らしいと思います。これまではスケートができる子どもだけが参加できましたが、ヴィブラムのオーバーシューズを履くことで、スケートができない子も氷上を歩けるようになりました。
子どもたちが選手と手をつないで入場し、目を輝かせている姿を見ると、本当にうれしいです。氷に触れる機会が増えることは、アイスホッケーの裾野を広げるうえでも大切だと思います。
(©ICEBUCKS)
H.C.栃木日光アイスバックスプロアイスホッケークラブチーム
H.C.栃木日光アイスバックス
プロアイスホッケークラブチーム

